「妄想力」を高め、論理的に伝えるブログ

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「ニッポンのジレンマ 2017年2月25日放送 AIのジレンマ大研究」

2016年の年末にEテレで見た、若い専門家たちがポストトゥルースを議論した「ニッポンのジレンマ」。その中で人工知能(以下AI)の議論が面白く、続きを見たいと思っていた。そして2017年1発目の「ニッポンのジレンマ」はAIの議論からスタート。

AI研究家 vs 批評家

前回の番組で「AIを使わない選択肢はあるんですか?」と言い放った、リクルート人工知能研究所所長の石山洸。「研究者たちのロマンに付き合いたくない」とAIに正直な嫌悪感を表現したメディア史研究者で批評家の大澤聡。この2人の議論がたまらなく面白かった。

 

AI研究家石山さんの意見


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石山さんは「レンジでチンするAI」をコンセプトに、だれでもAIを使ったり作ったりできるよう研究をしている。AIは大量のデータを関連付けて分析するのが得意だが、どうやって社会に役立てるかは人文・社会学の研究者に頼りたい考え。

 

石山さんは元々文系で大学時代に論文を書きまくっていたが、論文を書いても世の中は変えられない事に気付き、民間企業のリクルートへ入社。AIのリスクは「AIと人間との対立」「AIの恩恵を受ける人間と、受けない人間との対立」だという。AIを研究者が独占せずに倫理を持たせ、人々の間に格差を生まないようにする。また、何かの問題に対し正しい答えでも、自分がその当事者だったらまた違う答えとなる。AIは当事者意識を持つ事は難しいが、人間でも当事者意識を持たずに選挙へ投票をする人も多く、社会のストーリーを作るのは人間なので人文系の分野になってくる。

 

批評家大澤さんの意見


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エビデンス主義と言われる専門家のデータに基づく事実が正しいという考えが1990年代以降に偏りすぎた。専門家の意見やデータだけで判断しては明るい未来はない。個々の研究分野でリスクではなくても、社会全体と結びつく事で大きなリスクになる事もある。その例が2008年のリーマンショック、研究者が開発した金融工学を過信した事で経済的大混乱を引き起こした。

 

一部の研究者だけで人類の大切な問題の意思決定をしたり、プラットフォームを作る人が全てを掌握してはいけない。専門性をふりかざさないで、素人が心を開いて本音で話すことで、信頼をベースにした健全な対話が行われる。

 

大澤さんは、素人として色々な分野に顔を出し話しを聞いている。何かの専門分野につかず離れない関係性が許され、専門的な知識を持つ人よりも様々な分野の中途半端な知識を持つ人の方が信頼されるという考えを持っている。

AI研究歴60年の甘利俊一さん80才へのインタビュー


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AIという言葉が生まれた頃から、研究を続ける甘利さんは満面の笑みでAIを語る。人間の脳がモデルのAIは、脳と一緒でどういう論理でその考えが生まれたかの設計図がなく言語化できない。言語化されない意識や論理では、人間は安心してAIを利用する事ができない。

 

AIに仕事をさせて、人間はベーシックインカム(最低額の所得保障)を得て仕事をしないで遊んでいるという事は、「人間の家畜化」と批判。やりたい事を追求し調べて解決したいという人間の欲求を押さえつける事はできないのだ。今は合理的な判断をするAIが、将来はAIが人間と楽しく対話できるよう願っている。

大切なのは人間が対話をすること

研究者以外は、AIが人間の手に負えない不気味な存在と思い、シンギュラリティ(AIが人間を超える時)が起こり、人間がAIに支配されるのではと不安だ。AIの進化を止める事はできないし、AIをどう扱うかは人間次第。そして、人々の間で格差が大きくならないよう、研究者は心を外に開いて感情を理解し、そうでない人は無責任に批判するのではなく、自分の考えで責任ある行動をする。そうして議論を重ねる事でお互いの信頼を築き、明るい未来を切り開いていく事ができるのではないでしょうか。

今日の妄想

石山さん・大澤さん共にいくつかの専門分野をまたいで研究をしているので、話が分かりやすいし人間味があってとても魅力的。これからは違う分野で共創していく事が求められる。自分も他の領域のプロと一緒に世界を良い方向へ変えていけるサービスを実現させていきます!