「秋元康の仕事学」秋元康
娘たちの写真をスライドショーにして成長記録として保管している。そのバックミュージックにAKB48「恋するフォーチュンクッキー」を挿入して、この曲をすっかり気に入った。そのお陰で作詞・プロデュースの秋元康に強い興味を持ちこの本を手にした。
◾️企画のリュックサックにアイデアの素を入れる
企画は気づくことから始まる。自分が「おや?」と思ったことに、付箋をつけて、企画のリュックサックに詰めていく。そして付箋のついた出来事が、新結合してアイデアとなる。
みんなが「なるほど。そういう言い方あるよね」ということを言えるのがプロだが、入口は他人の意見よりも自分が面白いと感じる事が大事。
その気づきを得るには、常に好奇心を持つ事。好奇心を持つ人の多くは、「初めて」をつくるのが上手で、意識的に「初めて」をつくっていけばいいのだ。と秋元康は言う。
◾️予定調和が壊れた所に人は興味を持つ
エンターテインメントの基本というのは、全体像を見えにくくすること。つまり、「見てみなければわからない」事を提供し、どこまで意外性が持続するかが肝。
予定調和を壊すということは、単に、奇をてらう事ではない。今まで普通だと思われてきたものを根本から疑う事で、人々の心に響くものが作れる。人間は、予定調和のことをされても響かないものだ。
見切り発車でもいいから、まずは走ってみる。それから臨機応変に軌道修正すればいい。
◾️コミュニケーションと人脈
会社組織で新しい企画を通すにはどうすれば良いか。その答えは、コツコツと実績を積み信頼されるしかない。信頼づくりで大切なのは、嘘がない事。はっきり短所・長所を伝える事で信頼され、企画が通しやすくなる。
人脈は無理につくろうとするより、目の前の縁を大切にしたほうがいい。人間関係はタイミングが来れば、必要な人が現れる。だから、何かの縁で出会えた方には、出来ることを出来るだけやる事だ。
◾️自分が正解だと信じる力を持つこと
企画には正解がない。そうした中に一番重要なのは、「自分が正解だ」と思うこと。それは言い換えると自分の色を持つという事。「自分には才能がある」「自分は運がいい」かどうかは、自分が決めていいのだ。
青信号は進めで赤信号は止まれ、ということを守らなければ、この社会では生きられない。しかし、それさえ守れていれば、人に嫌われようが、自分の生き方を貫く方が魅力的。新しい事をやる時は、必ず反対意見が出るものだ。
◾️失敗は存在しない。思い込みを外して自然体で生きる
人生も仕事も失敗はなく、デッサンみたいなもの。デッサンで0・何ミリの極細のペンを渡されても、いきなり1カ所も間違えないで描ける人はいない。柔らかい鉛筆で何回か線をトレースして、最終的に輪郭が生まれる。仕事も人生も同じで、1本の線にあんまり臆病になっちゃうとダメ。
人生設計を立ててもいいが、すべてが思う通りにはいかない。「こうじゃなければいけない」「こうしなければいけない」という〝かせ〟を外したほうがいい。
秋元さんの語る、「自然体で生きる」というのは、何もしないということではない。目の前の縁を大切にしその時その時、自分が出来ることを最大限やり遂げるという事で、結果的に実績や信用へ繋がり新しい仕事を生み出す原動力となる。
◾️壁を乗り越えなくても夢は叶う。「川の流れのように」
壁というのは、乗り越えられないから壁なのだ。そういう時には、右か左にさっと動く。動くと、切れ目のない壁はないので、いつか必ずどこかで切れている。つまり「立ち止まるな」という事。壁にぶち当たって、どうするか考える時間がもったいない。立ち止まったら、壁の向こうには行けない。
秋元康がニューヨークへ行ったのは、壁にぶち当たった時に立ち止まらなかったから。進み続ける事で結論が導かれ、壁の向こう側に行く事ができた。
秋元康がニューヨークで「自分は何をやっているんだろう」と、川をぼんやり眺めていた事に付箋がついていた。そんな時に美空ひばりが復活する事になり、秋元康に詩の依頼がくる。ここから昭和の代表曲「川の流れのように」が誕生した。
いわば、人生は川の上流から下流までを繋いだ一筆書きのようなもの。今いる場所は、どこからか繋がってきている。一筆書きの線が切れていたら今日はない。だから、今起きている嫌なことも、良いことも、必ずどこかにつながる道になっている。人生に無駄はないのだ。
夢というのは、ぐーっと全力で手を伸ばした1ミリ先に存在している。それポジティブに信じる事が大事で、信じる事でチャンスを生かす事ができる。ポジティブになる為には、自分がポジティブだと自分で決めてしまえば良いのだ。
◾️今日の妄想
この本で秋元康のアイデアを考える姿勢を理解できた。日常の暮らしの中からアイデアの「素」を集めておいて、その時々で「素」を組み合わせて新しいアイデアを作っている。新しいアイデアと巡り合えた時に、そのアイデアを実現する具体的な方法やプロセスについても知りたかったが、コツコツやるしかなさそうだ。まずは気になった事に付箋を貼りまくっていこう!
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