「日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?」 by 村上尚己
地元で経済初心者向けに勉強会をやってくれた人がオススメしてくれた本。テレビや新聞などのメディアで語られている経済ニュースの反対側の意見を、経済初心者にも分かりやすく説明している。
経済を知るにはインフレとデフレを理解する事から
インフレ率がプラスであればインフレ(物価が上がる=マネー量が増える)。マイナスであればデフレ(物価が下がる=マネー量が減る)。中央銀行(日本は日本銀行、アメリカはFRB)はマネーを創出する権限をもつ唯一の機関であり、マネーの量を調節している。
2012年12月からの第2次安倍内閣によるアベノミクスは金融緩和でマネー量を増やし日本のインフレ率を2%に引き上げる「脱デフレ」が至上命題。日本銀行も2013年3月に黒田東彦総裁・岩田規久副総裁が任命されデフレを許容しない標準的な中央銀行になった。
経済の動きは中央銀行の金融政策によって動いていくのであり、トランプ氏が大統領になりアメリカが不安定になる為、安全な日本の円が買われ円高になるという事ではない。また、短期的な投資資金「投機マネー」の動きも市場への影響は少ない。
日本で20年間続いたデフレが日本経済における最大のネックであり、様々な問題を発生させた。
・5%の高い失業率と年間3万人を超す自殺者
・ブラック企業など雇用環境をめぐる問題
・高齢化に関わる社会保障の問題
・子育てや教育の問題
など
アベノミクス3本の矢
①金融緩和②財政出動③成長戦略の3つの軸を掲げ①②によってインフレ率が2%程度で安定し総需要不足が解消された後、規制緩和などの成長戦略をおこなう事で成長率の押し上げを行う。アベノミクスの金融緩和は効果が出ていないと言われているが、失業率が4%半ばから3%まで減少し、自殺者も3万人を大きく下回っている。この金融政策の根幹は「リフレーション」という金融緩和によって緩やかなインフレをキープし経済を成長させるという世界標準的な当たり前の政策と考えられ日本銀行と協調して実行をしている。
安部首相の意図しない2014年4月の消費増税によって、上向きかけた日本経済は再び停滞。政策判断としては痛恨のミスだった為、2度目の消費増税は見送りとなった。
アメリカは既に金融緩和によりインフレ率がプラス2%に近づき、FRBは金融引き締めに転換。金融面でアクセルを弱める分、経済成長が失速しないよう財政出動することに舵を切り始めている。
2020年までは日本経済が上向く
政府と日銀が目標とする2%の安定したインフレを実現させる2020年までは日本経済が正常化していくだろう。正常化とはインフレ率が2%程度の緩やかな伸びで安定し、失業率が2%台半ばに改善され、就労希望者のほとんどが働ける状態(完全雇用)の実現。それまでは株価とドル円相場が連動する異常事態となる。そのような状況で投資家が見ておくべきなのは2つだけで十分だ。
①これからの方向性が「円安→株高」「円高→株安」のどちらか。
②その方向性がいつ変わるのか。(日本の為替の方向は日銀とFRBの金融政策で決まっていく)
テレビや新聞などのメディアに惑わされないように
エコノミストやアナリストの仕事は、市場を分析し投資家の為の「レポート」を書く事。そのほとんどは会社員であり「予想が当たったか」よりも「レポートの本数を増やす」ことが評価される。さらにメディアへの露出が高まればキャリアにもプラスになる。そのようなアナリストがメディアに選ばれる理由は、分かりやすい筋書きを作れて、メディア側の意向に沿った発言ができるかである。
メディア側はアナリストの善し悪しも分からず、記者もアナリストの発する情報を咀嚼する力がないので、誤った情報を発信する専門家に取材をし発信してしまっている。営利企業であるメディアの役割は、相場の動きを当てる記事を書く事ではなく、些細な事でもセンセーショナルに記事を書いて危機を煽る演出をして視聴率を高める事なのだ。
トランプ大統領と安倍首相は同じな方向をみている
経済を成長軌道に乗せる具体的政策を打ち出して政権交代を実現したのが安部首相とトランプ大統領である。日本はデフレを20年近く放置し、アメリカは増税や社会保障のコストを国民に押し付けていた。そんな経済失政を繰り返し雇用環境改善がされない国民は不満だったのだ。この事が日米の経済状況を正しく掴む上で、シンプルなかつ強力なフレームだろう。アメリカの経済がよくなることは、日本経済にとって追い風だ。アベノミクスが再起動して、日本経済がかつてのように成長を続ける普通の国にもどればどんなに素晴らしいことだろうか。
これからのインフレで資産を活用
アベノミクス効果によってゆるやかなインフレになると、お金を貯め込むことに合理性が無くなる。マネーの価値が下がっていくから、資産を活用・運用する必要性がでてくる。普通の経済状態の普通の国になるとはそういう事なのである。
為替相場に最も影響するのはFRBがどの程度金融を引き締めするかであり、アメリカの政策金利(FF金利)を何回上げるかにある。この決定はFOMC(連行公開市場委員会=FRBの理事7人と各地区の連邦準備銀行総裁5名)で下され、2017年は2回か3回かと予測される。2回だと1ドル125円・日経平均21,500円へ、3回だと1ドル130円・日経平均23,000円になる事が予想される。
日本が完全にデフレから脱却し2%のインフレを安定的に実現するまでは、ドル円相場と株が連動する状態が続く。2017年の日本株は円安の進み具合に依存するというのが大きな前提としてあり、アメリカ経済の復調と中国経済の安定により2016年から日本企業の業績は回復基調に転じている。
経済状況が上向いて失業率が下がり人手が足りない状況が続けば経営者は給料を上げて福利厚生を充実させていくのだ。今後適切なインフレ率上昇とともに、企業投資や個人消費が持ち直していくだろう。2016年11月の完全失業率は3.1%まで下がってきている。この状況が続けば本格的な人手不足になり、企業経営者も真剣に人材確保に向き合わざるを得なくなるだろう。そして日本も豊かで健全な国になる。それを妨害しようとする経済メディアの雑音に惑わされないようになってほしい。
今日の妄想
テレビなどではトランプ大統領や安倍首相が批判されているが、経済面では正しい成長戦略なので景気が良くなるというお話し。今回の話しがどうなのかは、反対意見のメディア側の意見について知る必要がある。その上で自分の判断をすれば、お金の心配から逃れられるかも!
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